
(有)福祉ネットワークさくら 代表取締役 横山 由紀子氏(中同協)
埼玉県さいたま市浦和区で高齢者と障害者の福祉サービス事業を営む(有)福祉ネットワークさくら(横山由紀子代表取締役、埼玉同友会会員)。同社の特徴は営業範囲を自社から半径2㎞以内としていることで、有事の際にすぐに駆け付けられるようにしているだけでなく、利用者と顔の見える関係であることを大切にしています。
1999年の設立から25年が経過した現在、地元地域を大切にし続けてきた同社だからこその、新たな挑戦が始まっています。
ニーズに合わせた事業展開

同社は、かつて別の会社の社員寮として使われていた3階建ての建物を買い取り、その中で多岐にわたる事業を展開しています。
1階は認知症の方にも対応した通所型介護(デイサービス)事業所と地域密着型通所介護事業所。室内には折り紙で作られた飾りが施されるなど、明るい雰囲気の中でレクリエーションや機能訓練などを行うことができます。2階は居宅介護支援事業所および相談支援事業所。そして、3階は就労継続支援B型事業所と生活介護を行う多機能型事業所「アトリエ・モモ」のフロアです。
B型事業所の利用者は、調理室でさまざまなプリントが入ったオリジナルクッキーなどのお菓子製造を行っています。出来上がったお菓子を梱包し、イベント等での販売も行うなど、安心して働ける環境を提供しながら、仕事を通じた利用者の成長を実現する場としています。
さんかくカフェ

そんな同社が9月24日にオープンしたのが「さんかくカフェ」です。場所は同社の向かいのスペース。三角形の屋根が特徴の建物ですが、店名には「いろいろな人が参画する場にしたい」という思いが込められています。天井が高く明るい店内は解放感があり、スロープや手すりを設置するなどバリアフリー体制も万全、カフェの店長を務めるのは看護師歴30年を誇る同社のスタッフです。
福祉事業を営む同社が全くの異業種である飲食店に取り組むきっかけとなったのは、10年ビジョンの存在です。社内でビジョンの検討を進める中、出された意見のひとつが飲食事業でした。「わが社には障害などを抱える人が訪れてくれますが、地域の中には困難を抱えている人がまだまだたくさんいると思います。そういう人たちの声を聞く場としてカフェを作りたいと思いました」と横山氏は振り返ります。ビジョンに沿って約10年間準備を進め、今年の開業に至りました。
子どもたちは地域の宝

さんかくカフェの庭にはさまざまな植物が植えられ、屋外でもカフェのメニューを楽しむことができます。平日でも多くの子どもたちや家族連れ、高齢者など地域の人々が来店してにぎわい、コーヒーや紅茶などのドリンクメニューをはじめ、ピザやソーセージなどのフードメニューも提供しています。中でも人気なのが、長野県産の牛乳を使った生乳100%のソフトクリームです。そのおいしさはもちろんのこと、子どもたちから喜ばれるある仕掛けがあります。
それが5枚1口(1,000円)の「恩おくり券」です。この券を大人が購入することで、小学生以下の子どもたちは「キッズソフトクリーム」を無料で食べられるという企画です。地域の子どもたちの分のお金を、地域の大人たちが先払いする仕組みで、すでに子ども1500人分以上の「恩おくり券」が集まっていると言います。店内にはソフトクリームを食べた子どもたちからの多数のメッセージが「ありがとうカード」として飾られています。「子どもたちは地域の大切な宝物。ソフトクリームを食べた子どもたちが、成長して次の子どもたちに恩を送っていく、そんな世代を超えた循環をつくっていきたい」と話します。
人々が集まる場づくりを通して、安心して暮らせる地域を展望する横山氏。誰もが活躍できる社会に向けた取り組みを加速させています。
(有)福祉ネットワークさくら | |
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創業 | 1999年 |
資本金 | 300万円 |
社員数 | 53名(パート含む) |
所在地 | 〒330-0071 埼玉県さいたま市浦和区上木崎6-9-3 |
TEL | 048-831-1079 |
FAX | 048-831-7701 |
URL | https://www.net-sakura.jp/ |