
都タクシー(株) 代表取締役社長 筒井 基好氏(京都)
京都市南区の工業地帯に本社を構える都タクシー(株)(筒井基好代表取締役社長、京都同友会会員)。1940年からタクシー業を生業とする都タクシーは、現在、タクシー会社・旅行会社・自動車整備工場・観光バス会社など合計14のグループ会社です。社員数は約700名でタクシー保有台数は354台。京都市全域と福井県・山口県に系列会社があり、京都に本社を置くタクシー会社としては3番目の規模となります。
パンデミックの影響を大きく受けたタクシー業界

タクシー業界は、普段あまり外部環境の影響を大きく受けません。不景気や人口減少の中でも、人々の活動が完全に止まることはないからです。しかし、5年前のコロナウイルスの際はそうではありませんでした。それまで観光客や大学生など人通りの多かった京都の街も、緊急事態宣言を受け閑散としました。その影響は業界に深刻なダメージを与え、京都のタクシー業界でも60社中6社が廃業に追い込まれました。京都の街で、85年間にわたりタクシー業を営んでいる都タクシーにおいても、売り上げは8割以上減少し、先行きに対する不安は高まる一方でした。
2006年、33歳の頃から社長を務める筒井氏は都タクシーの4代目。コロナ禍のことを「他の業界が注目される中、タクシー業界はあまり報じられなかった」と振り返ります。リーマンショックや東日本大震災の時には、業界の売り上げは2割減少しましたが、コロナウイルスによる影響はそれを遥かに上回りました。しかし、給料の保証や社員たちの努力によって会社は存続し続け、タクシー業が消え去ることはありませんでした。
コロナ直後の新たな課題、「公共を支えるインフラ」として
コロナが終息し始めると、京都の街には再び観光客が訪れるようになりましたが、コロナ時期に大きく減少した供給力の不足により新たな課題に直面します。ライドシェアの台頭が業界を圧迫する中、“移動”というインフラを担う産業としての安全性を重視し、価格転嫁に取り組みながら安定した供給力の早急な回復をめざしました。
また、同友会をはじめとした仲間との学び合いを通じて、時代を先読みし変えていく必要性を感じ、自社と業界の変革にも取り組んできました。近年ではテクノロジーの進化に対応するため、早期にアプリやキャッシュレス決済などのDX化を進め、海外の動向を見ながら導入を進めてきました。
ローカルで生き残るための「共業」

一方で、筒井氏は「ローカルモデルの重要性」を強調します。グローバルに対抗するには、ローカルしかない。そのために業界全体の力を合わせ、「必要なのは競争ではなく共業」として、協力してお客さまのニーズに応える仕組みを作り上げることが重要だと語ります。人口減少による産業全体の危機に対しても、「地域に根差したインフラとして生き残ること」が最も重要だと語っています。都タクシーは福井県と山口県にも系列会社を設けていますが、京都も含め観光需要がいつまでもあるかはわかりません。観光に依存することなく、地元の住民にとって欠かせない交通手段となるために、タクシー業界は日常的な存在として根付く必要があると話します。
みんなが心のレベルをほんの少し上げれば。
また、今後注力していきたいこととして「交通バリアフリー」を挙げています。特に現在の日本において、障害者やベビーカー利用者など、交通がしにくい方々のためのバリアフリーの取り組みの重要さを話す筒井氏。「設備の整備は進んでいるが、心のバリアフリーがまだ課題」と指摘し、「より多くの人々が気兼ねなく生きられる社会の実現に、タクシーの分野で貢献したい、そして京都をチャレンジングな地域ナンバーワンにしていきたい!」と話しました。
特別なものではなく、日常の存在に
京都という地域において、観光だけでなく地元住民の移動手段としてタクシー業界が生き残るためには、地域密着型のサービス提供が不可欠。そのためには、社員とのコミュニケーションを大切にし、地域社会とのつながりを強化していくことが重要だと話す筒井氏。業界全体が直面する厳しい状況を乗り越えるために、協力と共生を重視した新たなビジネスモデルを模索し続けているからこその熱い思いが語られました。
| 都タクシー(株) | |
|---|---|
| 設立 | 1940年12月 |
| 資本金 | 4,300万円 |
| 従業員数 | 約700人 |
| 年商 | 25億円(グループ合計:45億円) |
| 事業内容 | タクシー・観光バス・一般車検整備・福祉タクシー・旅行 |
| 住所 | 〒601-8133 京都府京都市南区上鳥羽藁田町27番地(本社) |
| 電話番号 | 075-671-6101 |
| URL | https://www.117385.com/ |










