
(株)丸一観光 専務取締役 木下 恒喜氏(石川)
木下氏(㈱丸一観光専務取締役、石川同友会会員)は婿養子として入社し、現場経験を通じて経営課題に向き合ってきました。石川同友会では能登支部長を務め、地域企業との連携促進に尽力するなど地域経済の活性化にも貢献しています。
歴史ある企業の歩みと事業の多角化

1965年11月創業、1972年3月に法人化された同社は、資本金6,500万円を有し、観光バス・高速乗合バス・夜行バスの運行、さらには国内旅行商品の企画・販売を主軸に発展してきました。東京と金沢を結ぶ夜行バス路線を2系統運行し、他社と連携したツアー商品も提供するなど、旅行市場の変化や競争環境に対応するためにバス輸送にとどまらない複合的な観光サービス企業として着実に地位を確立していきました。
理念に根ざした経営と変革への挑戦
同社の経営理念には「仲間との成長」「社会貢献」など、ホスピタリティと人間関係を重視する姿勢が表れています。創業者の家族的な価値観を継承しつつも、制度とのギャップやコロナ禍による予約減少といった現実的な課題にも果敢に挑戦してきました。フランチャイズの展開や異業種との関係構築といった新たな経営戦略にも取り組んでおり、理念を体現する柔軟な経営を実践しています。
人を育てる組織づくりとテクノロジーの導入

労働集約型産業であるバス事業において、「人材」は企業の根幹です。同社では、社員一人ひとりの個性や強みを生かした配置や支援を行い、半年に一度の班長ミーティングや意見交換を通じて、組織内の連携を強化しています。若手社員の定着を支援するためにベテラン社員をそばに配置しサポート体制を整えるなど、「貢献できている」と実感できる職場づくりに力を入れています。
また、運転中の意識消失などによる重大事故を未然に防ぐため、AIやスマートウォッチ、視線監視カメラなどの先進技術を導入しました。健康診断や栄養指導と組み合わせて、社員の健康と交通安全の両立をめざしており、これらの取り組みは安全管理に加え「人を守る経営」として注目されています。
災害対応と企業の社会的責任
近年能登では、地震や豪雨災害があり多くの困難に見舞われました。特に地震では、社員の家族が被災し、安全と命の尊さを改めて実感したと話します。
また、同社は災害復興支援にも積極的に取り組み、地域社会とのつながりを大切にしています。このような姿勢は企業文化として根付き、新たな価値を創出しています。困難な状況に直面しても人と向き合い、地域とともに歩む姿勢は、観光バス業を超えた「地域共生型企業」としての可能性を示していると言えます。
地域と人を育てる企業へ

設立50周年を記念し、全国から275件の応募があった中から公式マスコットキャラクター「マルワンジャー」が誕生しました。「安全・安心・快適な移動」をテーマに、市民から親しまれる存在をめざし、広告やイベントなどでの活用、キャラクターを通じて公共交通の魅力発信と地元に密着した活動の推進に取り組んでいきます。
これまで「人を生かす」ことを軸に、社員一人ひとりの個性と可能性を尊重し、働きがいのある職場づくりを進めてきました。安全と健康への投資、若手支援、組織の効率化など、多面的な取り組みを通じて、持続可能な企業運営を実現しています。 今後も、変化の時代に柔軟に対応しながら、社員とともに成長し地域社会に貢献する企業をめざしていきます。
| (株)丸一観光 | |
|---|---|
| 創 業 | 1965年11月 |
| 設 立 | 1972年3月 |
| 資本金 | 6,500万円 |
| 年 商 | 11億円 |
| 業務内容 | 一般貸切旅客自動車運送事業/一般乗合旅客自動車運送事業 第二種旅行業/自家用自動車運行管理業 |
| 社員数 | 76名 |
| 所在地 | 石川県七尾市矢田町2-1 |
| URL | https://www.maruichi-gp.co.jp/ |










