【第5回】「対等な労使関係」がよい企業をつくる 斎藤マシン工業㈱ 代表取締役 中川 健氏(山形)

斎藤マシン工業㈱ 代表取締役 中川 健氏(山形)

 斎藤マシン工業(株)(中川健代表取締役、山形同友会会員)は、中川氏の妻の祖父がミシン部品製造業として1950年に創業。時代の変遷で取扱品目を変え、現在は真空装置部品、電子顕微鏡部品、食品関連機械部品などを製造しています。高い技術力で溶接後の二次加工まで一貫して担える体制が強みです。

社長の仕事とは?

 中川氏自身は米の卸問屋を経て入社し、専務時代を経て2017年に社長に就任。前年に第二工場を新設するなど事業拡大する中での社長就任でしたが、具体的な会社の方向性が無いままの2拠点体制に社員は疲弊し、退職が相次ぎました。

「社長の仕事として先を見据えていかなければ」と危機感を覚えた中川氏は、誘いを受けて山形同友会に入会。2018年に「経営指針をつくる会」を受講しました。そこで気づいたのは、まだプレイヤー気分で「毎日仕事で忙しくて先のことを考える余裕はない」と思っている自分の甘さでした。

 指針づくりを経て理念が固まったことで、中川氏は自信をもって社員に自社のめざす姿を示せるようになり、社員の働き方や不満についても、「労使見解」の精神に則って誠実に改善に取り組むことを決意しました。

「自分たちの会社」をよくするために

 同社の大きな特徴が、社員の自主性・主体性に基づく労働環境改善です。同社には出退勤時間を大きく前後できるフレックス風のタイムシフト制度がありますが、もともとは会社側が仕事の効率を上げるためのものでした。それを、指針成文化を機に社員の自己都合でも申告が可能な制度に改正。あわせて残業時間や機械の稼働状況を一元管理化することで「36協定を意識し、工程納期を守ろう」「全社の助け合いで、図面通り&納期通りを達成しよう」「自分たちの会社を自分たちで働きやすくしよう」という雰囲気が醸成されてきました。そういった社風の変化により、活発な社内委員会活動による技術者育成や社員間交流、5S徹底、改善活動、社員自身による休日数設定(実績:2023年108日→2025年117日達成)など、主体的な労働環境改善が進んでいます。

変えるべきもの、変えなければいけないもの

 また、経営指針づくりの中で「モノづくり」の考えを確立させたことも重要な転換点でした。「先を見据えるには過去を知らなければいけない」と自社の歴史を振り返る中で、同社がこれまでモノづくりの精神を貫きながらも、つくるモノについてはミシン部品、タイプライター部品と、時代の要請にこたえて変化させてきたことに気づきました。

 そこで、「モノづくりの精神は変えず、作るものは変えていかなければならない」と決意し、指針を基に取扱品目の割合を変更。それまで一品物の単発注文への対応力を強みとしていましたが、企業の技術力が向上する一方で利益が残らない課題がありました。現在は新規依頼とリピート注文のバランスを重視するとともに、受注品目を分散することで外部環境への柔軟性を確保。実績として昨年度は需要の変動を捉えて過去最高売上を達成しています。

社員と共に経営指針を実践し続ける

 自身の経営指針実践を振り返り「理念が確立されたことで、自信をもって社員に語れるようになり、迷いが消えた。社長は偉いのではなく、社員と同じ未来をめざす中で役割が違うだけだという対等な労使関係の考えに立ったことで、社員の不満にも誠実に向き合えるようになった」と語る中川氏。これからも社員と共に価値あるモノづくりを実践し続けます。

斎藤マシン工業(株)
創業 1950年
設立 1963年
資本金 1,000万円
従業員数 57名
年商 9億7千万円
事業内容 真空関連装置、電子顕微鏡などの部品加工および設計、組立
住所 本社:天童市石鳥居2-2-64  中山工場:東村山郡中山町大字長崎中原1040-1
電話番号 023-674-8853
URL https://www.m-saito.co.jp/