【第10回】人を生かす経営で未来をデザインする (株)フォーカス 代表取締役 三津間 謙一氏(福島)

(株)フォーカス 代表取締役 三津間 謙一氏(福島)

 福島県福島市で映像・広告制作を営む(株)フォーカスの三津間謙一氏(代表取締役、福島同友会会員)。「全社員の幸せと成長の追求」を経営理念に、人を生かす経営の実践を積んでいます。しかし、会社を立ち上げたばかりの頃は、「人を生かす経営」からはほど遠い姿だったと言います。

経営理念は「俺の頭の中」

 2011年に法人化をしてから3年目までは、社員を2名雇っていましたが、その社員はいずれも三津間氏の知り合いや後輩であり、社内の体制は緩く、トラブルやミスが多発していました。これはまずいと思った三津間氏は同友会の先輩経営者に相談し、“社員と共に”経営指針書づくりを進めるようアドバイスを受け、三津間氏と社員との経営指針書づくりがスタートします。

 経営理念は元々「俺の頭の中にはあった」と、当時相談した先輩経営者にも話していましたが、社員と一緒に経営指針書を作っていく過程で、お客さま目線で会社をつくり上げることばかり考えていた自分に対し、社員は「お客さまのために自分たちがどう成長すべきか」という視点を持っていることに初めて気づかされた、と三津間氏は振り返ります。現在では、パートスタッフも含めて半年かけて経営指針を作り直し続け、また、毎月1回の定例会議を1日かけて実施し、ベクトル合わせを行っています。

同友会から学び実践していること

 同社の「人を生かす経営」は、同友会で仲間と共に学びを深めていった経験が軸になっています。同友会の活動へ参加するようになり、まず実践したことが、新たな事業部の設立です。元々はフリーのビデオカメラマンとして、結婚式場への持ち込みから始め、式場と業務提携を結ぶ形を取れるようになり、ブライダル事業部を立ち上げたのが同社の始まりでした。そのブライダル事業部の他に、両輪として広告制作部を設立しました。コロナでブライダル事業が大変厳しい状況に陥っているときに、広告制作部を立ち上げたことで、売り上げは前年比の2割減で踏みとどまりました。

 また、自分の会社に足りないものを、福島同友会の支部内に設置されたグループ会のサブテーマとして、メンバーを巻き込んで勉強をした時期もあったと三津間氏は語ります。「労使見解」「人事考課制度」「セルフマネジメント」「経営戦略」など、現在の会社の要となっているものは全て同友会(同友会のつながり)から学んだものばかりです。

 同社では、「従業員基本方針」として、今年度の基本方針の策定と昨年度の振り返りを全社員で行う仕組みが取り入れられています。また、毎日の日報提出では、自分と社員だけでなく、書いた中身は全員が閲覧できる仕組みになっています。情報は可能な限り公開をし、公平性が保たれています。

社員と共に未来へ

 同社では、持続可能な社会の実現のために、社会の課題解決に少しでも役に立てるように、次世代教育支援活動の一環として動画コンテンツ制作の「教育CSR」、地域社会のクリーン活動のため「ゴミゼロ・クリーン活動」などの社会貢献(CSR)活動も積極的に行っています。また、撮影現場の裏側やロケ飯、フォーカスで働くスタッフの楽しそうな様子などが見られるインスタグラムも日々更新しています。「社員とのコミュニケーションは常に取るように心がけています。自己満足で終わることなく、社員全員が常に同じ思いでいられるように、頑張りたい」と三津間氏は語ります。

 2021年6月には、現在の会社とは別の農業法人(株)佐蔵農園を設立。(株)フォーカスで雇用している女性社員が社長となり、自身は後方から支える立場に徹しています。これからも同友会で学びながら社員と共に実践し、同社の新たな挑戦が続いていきます。

(株)フォーカス
創業 平成14(2002)年4月
設立 平成23(2011)年3月
資本金 50万円
社員数 正社員 : 6名 パート :3名
事業内容 広告制作(映像・写真・デザイン・ウェブ制作・SNS戦略等)
住所 福島県福島市太田町31-4 
電話番号 024-563-7990
URL https://focus-cs.jp